MizuMirai Vol.10

Special Feature特集

水が未来の光になる。

地域小水力発電の可能性。
水から電気を作る。それは100年後の地域の光にもなる。

地球にやさしい発電として。日本の地形を活かした発電として。
そして地域をも潤す取り組みとして。
今、地域小水力発電が注目されています。
発電=電気を作る、ということだけにとどまらない可能性について、 富山国際大学現代社会学部の上坂博亨教授に伺いました。

そもそも地域小水力発電とはどのようなものなのでしょう。明確な定義はないと前置きした上で、上坂教授は「最大出力が1000kW未満のものを呼ぶ」と言います。「技術面の特徴は大規模発電のようにダムで水を堰き止めるのでなく、川の水の流れや落差を利用した〝流れ込み式〟による発電です。わかりやすいイメージとしては水車です。水の流れを利用して機械を駆動させていました。まったく同じとは言いませんが、発電の原理には近いものがあります」。しかしその小さな発電がオール電化に代表される現在の暮らしの電気をまかなうことができるのでしょうか?「確かに全国規模のエネルギーをまかなうには規模的に無理があります。しかしこの発電には地域という言葉がついています。そこがポイントです」と上坂教授は言います。1kWの電力はオール電化の世帯であっても1〜1.5世帯分をまかなうことができると言います。1000kWならおおむね1000〜1500世帯の電気をまかなうことが可能。「現在のところ地域小水力発電の可能性は国内の全消費電力の1%前後と考えられています。小規模に見えますが、地域の集落にとっては十分な電力エネルギーと利益を供給できます」と上坂教授は教えてくれます。

富山市内から見える立山連峰。地域小水力発電は北海道、長野県、岐阜県、そして富山県に多い。高い山があって、冬に雪が山に積もる地域ほど、年間を通して一定した水量があるからだという。
地域小水力発電は大規模なダム建設を伴わない「流れ込み式」。水を大規模に堰き止めず、もともとの落差を利用する手法が基本。